個人目標の点検ポイント②~高すぎる目標、低すぎる目標の判断(人事評価シリーズ35)
2020年02月05日
人事評価シリーズ34では、目標のレベルの判断基準について書きました。基準は理解したものの、それがスタッフの役割やレベルに対して妥当なのかという判断をどのようにすればよいのかという悩みが次の課題です。
スタッフのレベルは目に見えない、可視化しにくいことですので、妥当かどうかはやらせてみないことにはわかりませんし、一生懸命に取り組んでやっと達成できたことと、いとも簡単に達成できたとでは、全くレベルは異なりことになります。
一生懸命に取り組んでも到底達成できなかったとなると、スタッフにとって「高すぎる目標」ということになりますし、いとも簡単に、そしてあっという間にやり遂げたとなると「低すぎる目標」ということになるでしょう。
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目標が「低すぎる」のか、「高すぎる」のかの判断として、取り組む期間があると思います。
「低すぎる目標」とは、1年間で取り組む目標を立てたにもかかわらず、半分の期間の6ヶ月もかからずに達成してしまう目標です。短い期間で達成できたということは、そのスタッフのスキルに対して簡単に取り組める目標であったことが考えられます。ですので、目標設定時に、「スタッフが一生懸命に取り組んだとしたら、最短どれぐらいの期間で達成できるのか」を、行動計画を点検して想定してみてください。
もし、すぐに達成できそうだなと思ったときは、設定した目標の「習熟度を高める(深まり)」もしくは「範囲を広げる(広がり)」ことで期間を延ばしてみて下さい。
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例えば、看護師さんの「採血」という仕事があります。針の指しやすい太いまっすぐな血管であれば、できるようになるまでそれほど期間がかからないかもしれませんが、未満児や血管が細くて出にくい人の採血はそれなりに経験を重ねる必要があるでしょう。そうすると、「採血」という仕事でも、あらゆるタイプの血管からの採血ができるようになるというのは、期間が必要になってきます。深まりと拡がりによって、期間を延ばすことができるということです。
「低すぎる目標」と判断したとき、別の目標に差し替えるのも一つの策ですが、それではスタッフの設定した目標を否定することになってしまいます。できればスタッフが自分で設定した目標を尊重して、深まりと拡がりを持たせることでやる気とスキルをさらに伸ばす方策のほうがよいのではないかと思います。
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一方、「高すぎる目標」は、量的にも質的にも一人で実行するには無理な目標です。
「高すぎる」と判断したとき、レベルを下げるのかというと、そうではなく、スタッフが設定した目標を高すぎるならば、サポートするのが管理者の役割です。より高い目標に挑戦しようとする意欲を尊重し、取り組ませたいものです。
目標は、「取り組みたい」という気持ちがあって取り組めるものです。「高すぎる」としても、やる気を尊重して、管理者として、何をサポートすればよいのか、いつサポートすればよいのかを面談で確認するとよいでしょう。
ただし、気を付けたいことは、患者さんに危険性が及ぶようなこと、他メンバーや他部署に支障がおよぶかもしれないと思うことが少しでもあるならば、「〇〇のことをするときは一声かけてからやってくださいね」とリスク管理をするのも管理者の役割だと思うのです。
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取り組む期間だけが判断基準とは言い切れないことはあると思います。しかし、可視化できないスタッフのレベルのことを勘案すると、可視化できる判断基準として使うのも”あり”かもしれません。