評価制度と目標管理制度の目的は腑に落ちる説明を(人事評価シリーズ29)
2019年06月22日
人事評価も目標管理もその目的を「人材育成と組織活性化」と規程等で定めている組織が多いと思われます。
人事評価シリーズ28では、「人材育成と組織活性化」を腑に落ちる内容で説明することが肝要であることをお伝えいたしました。
これまで延べ500件以上の人事評価者研修を通じて、次のように私自身は伝えています。
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「人材育成」ということば、「上から目線」のように感じませんか。私たちは、職場では役割の違いで上司と部下、先輩と後輩という立場はあるものの、「働く」という立場では平等であると思うのです。なので、私は「人材育成」ということばを「自分で自分を成長させること」と説明しています。
働く人はすべて同じ社会人です。同じ社会人という観点から、育てられるのではなく、自分ができないことは自分で教えてもらいに行く、勉強しに行くこと、わからないことは自分で訊きにいき、自分で理解できるまで努力することが自立した職業人だと思うのです。私は、それが最終的な人材育成の姿なのではないかと思っています。
よって、人事評価は自己評価がきちんとできる人(自分の仕事を自分で確認できる人)を育てることが一つの目的だと考えます。
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では、「組織活性化」はどうでしょうか。このことばも漠然としていて、何がどうなるのかがわかりにくいことばです。
人材育成は、「個(人)」が成長することに加え、どんなに「個(人)」が成長しても、所属している組織が経営不全では意味がありません。
「組織活性化」とは、「明日も組織が運営できること」だと思います。今日来てくれた顧客からいただいた収益は、明日くる顧客のために使うということ、つまりお金を循環させる仕組みを作っておくことだと思うのです。
組織が顧客にサービスを提供するためには「お金」が必要です。病院であれば、外来患者さんを迎え入れるためには、正面玄関を開けなければなりません。正面玄関が自動ドアだとすると、そこには電気代がかかっています。初診患者さんであれば、総合受付で簡単な問診ができる人を配置しておかなければならなく、人の雇用=人件費が必要です。さらにきちんと患者さんに説明できるだけの業務知識を教えなければなりませんから、教育費も必要です。
つまり、組織が明日も運営できる状態をつくるためには、計画的に収益を確保して、顧客サービス提供に必要な経営資源をやりくりすることが必要なのです。無計画では、いずれは破綻してしまいます。
そのために、「目標管理制度」という手段によって、年間の組織の運営計画をつくり、役割配置をし、各自が役割計画に基づいて実践できているかのチェックが必要なのだと思います。
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「人材育成と組織活性化」と言われると漠然とわかったような気になりますが、実は上記のように現場のスタッフが理解できるような、そして更に腑に落ちるような説明をすることに手を抜いてはいけないと思うのです。
皆さんの組織はいかがでしょうか。
スタッフの腑に落ちる説明は、人材育成と組織活性化だけではなく、私はそのスタッフの組織コミットメント(だったら、この組織にいたい!と言う気持ち)にもつながるのではないかと思っています。