行動・態度・意欲の評価の特徴と気をつけたいこと(人事評価シリーズ14)
2018年09月14日
評価項目のことは、人事評価シリーズ8の「評価項目は、組織の期待値でありモデル」であり、
以下のように述べました。
①与えられた仕事、役割が正しく実践できているか(「成績評価、業務成績評価」などと言われます)
⇒ 評価表の項目では、「仕事の質」、「仕事の量」、「役割の遂行度」など
②仕事をするときの態度や姿勢、意欲は一生懸命さが行動に表れているか(「行動評価、情意評価、勤務態度評価」などと言われます
⇒ 評価表の項目ではい、「規律性」、「責任感」、「積極性」、「協調性」など
③仕事をするときに必要な知識や技術、スキルが身についているか(「能力評価」などと言われます)
⇒ 評価表の項目では、「知識技術技能」、「理解力」、「伝達力」、「コミュニケーション力」、「情報処理力」など
①、②、③の3つの視点で、バランスよい人材を育成したいという期待値が込められているということでした。
人事評価は、できる限り客観的になるよう、評価者はその努力をする必要があることも述べました。
それでもなお、客観性が担保しにく評価があります。
それが、②の仕事をするときの態度や姿勢、意欲などの評価です。
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態度や姿勢、意欲に関する評価は、次のことが評価内容で設定されている組織が多いと思います。
👉 社会人として、職業人として、組織の一員として、望ましい姿が示されている
👉 就業規則その他諸規則、仕事の基本に基づいた基準が示されている
👉 よりよい仕事の成果を導くためのプロセスが示されている
(例えば、「報告、連絡、相談をタイミングよく行えていたか」など)
👉 年一度もしくは半年に一度、自らの態度や姿勢、意欲を振り返るチェックリストとして活用できる
このように、態度や姿勢、意欲に関する評価は、私たちが組織で仕事をする上で、
新人でもベテランでも管理職でも、誰もが気をつけるべきことが示されています。
とても大切な評価であることが理解できると思います。
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大切な評価ではありますが、次のような特徴があるため、
評価するときに気をつけてほしいことがあります。
👉 具体的な行動・態度を見ていなければ、評価結果を導き出せない
どんな態度だったのか、どんな意欲がみられたのかは、仕事ぶりを観察していないと
評価結果は出せません。評価するためには、行動の事実が必要であることは以前に述べました。
👉 対象とするものが行動や姿勢であるため、明確な結果が見えにくい
仕事の成果は、結果がでますし、必ず終わりがありますから、
ある程度明確にできた、できていないの判断がしやすいのですが、
態度や姿勢、意欲は終わりがありませんので、結果を捉えにくいという特徴があります。
👉 人によって(評価者、被評価者含め)、基準の捉え方に誤差が生じやすい
態度や姿勢、意欲は、人によって、大事にしているポイントが異なります。
要は「一生懸命に仕事をしている」の「一生懸命」は、それぞれの仕事への向き合い方になります。
そうなると、それぞれの尺度が異なるため、評価者と被評価者の一致点を見つけにくいという特徴があります。
例えば、規則を厳密に守ることをよしとする人と、規則はある程度曖昧でも、仕事の効率が大事という人もいます。
明らかに尺度が異なるため、評価結果が折り合わないことがあるわけです。
👉 評価結果を被評価者が信頼しにくい
仕事への向き合い方のポイントが異なれば異なるほど、被評価者は評価者の結果に対して、
疑問を抱く度合いが高まり、評価結果を信頼しにくくなります。
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では、上記のことをどう回避すればよいのでしょうか。
次の対策を参考にしてみてください。
【対策①】
評価結果は、根拠あるものにすること
👉 根拠(具体的行動の事実)をスタッフに説明をできるようにすること
👉 スタッフとの面接のたびに、着眼点の捉え方の誤差を修正しあうこと
👉 評価者同士の着眼点の捉え方を定期的にすり合わせること
👉 評価するのにに迷ったら、周囲の評価者に相談してみること
👉 日頃からスタッフとの信頼関係を築く努力をすること(←やはりこれが一番ですね!)
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態度や姿勢、意欲はいいに超したことはありません。
意欲があって、初めて充実した成果が生まれてきます。
大切な評価項目ですので、しっかりした評価、信頼される評価を導き出せるよう評価者も努力したいものですね。